「楽しもう!って思ってないと、変に気負っておかしくなりそうだから、あえてそうしてるだけ」
「そうだったんだ……」
思いがけない事実に面食らっていると、いきなり両手を取られた。
朝香ちゃんの指先は、凍えるように冷たく、少し震えてさえいて、本当に緊張しているのだと痛感する。
「だからね、何回でも言うけど、ななちゃんがいてくれて、ほんっとうによかったんだよ。ありがとう」
「ええっ、そんな、お礼を言いたいのはわたしのほうだよ。朝香ちゃんがいてくれて、いつも、本当に心強いよ」
「ああ、もう、ななちゃんが大好き! お互い、きょうは、楽しもうね! 気楽にね!」
同じクラスになって、こうして話をしたりする以前は、朝香ちゃんのことを、まるで芸能人みたいに感じていた。
綺麗で、聡明で、人気者で、
なんでもたやすくこなしてしまうような、きっと、ものすごい人なんだろうって。
わたしとは、まったく別世界にいる存在なんだろうって。
でも、実際は、全然そんなことなくて。
むしろ、朝香ちゃんも等身大の女の子なんだなぁ、と思うことのほうが、いまとなっては、ずっと多い気がする。
ひょっとするとずうずうしいのかもしれないけど、仲良くしてもらっている、なんて、本当に微塵も感じないのだ。
大切で、大好きな友達。
いまは、朝香ちゃんのことを、そんなふうに思うよ。



