梓ちゃんのネイルサロンで、はじめて女の子の姿でいる彩芭くんを見かけたときと、同じような心の震えを覚えている。
「朝香ちゃん……あの、おはよう。あんまり綺麗で、びっくりしちゃった。どこの女神さまかと思って、すぐに言葉が出てこなかったよ。へへ」
自分ではどうにもできないほどどきどきしていて、それが無性に照れくさくて、不自然に目を逸らしてしまう。
語尾にくっついた笑いは、我ながら、けっこう気持ち悪い気がする。
「もー! ななちゃんは相変わらず褒め上手だなぁ。ななちゃんも、ヘアメイク出来上がったんだね! すっごくかわいい、天使みたい!」
なんですと。
天使、ですと。
とんでもない。
わたしなどは、こけしでも、じゅうぶんなのだけど……
と思いながら、おろおろと目を泳がせていると、途中で彩芭くんと目が合って、満足そうに微笑まれてしまった。
なんだか、言いようもないほどに、恥ずかしい。
「ねえ。ひょっとして、髪は久遠くんがやったの?」
大きな目をきらきらと輝かせながら、朝香ちゃんが訊ねた。
「うん、そうだよ。かわいいでしょ?」
それに、彩芭くんが、どこか得意げに答える。
「めちゃくちゃかわいい! こんなに綺麗な編みこみ、はじめて見たぁ」
「コツさえ掴めば簡単だよ。よかったら、あとで教えようか?」
「えっ、いいの?」



