少し早めに登校したつもりだったのに、教室には、すでにけっこうな人数がいたので、驚いた。
クラスの出し物として、我が2年1組は、フレンチトーストを販売する予定だ。
準備に追われるクラスメートの力になりたかったし、わたしみたいなやつは本来そうするべきなので、思わず手伝おうとしたら、ミスコンの準備をしていて、と口々に言われてしまった。
少なからずいたたまれない気持ちになりながら、教室の隅っこで、なるだけ小さくなって準備を開始する。
「うう、本当に申し訳ないなぁ……」
「みんな、きなこちゃんのこと、応援してくれてんだよ」
どうせセットするからと思い、起きぬけにブラッシングしてきただけの、無造作な髪。
それを、わたしのすぐ背後に立った彩芭くんが、自然な手つきで触りながら、そっと耳うちしてきた。
「ヘアセットは俺がやるね」
「えっ、いいよ、大丈夫だよ? 彩芭くんだって、いろいろとやることがあるだろうし」
「だから、さっきも言ったじゃん。俺はきなこちゃんを手伝うために早く来たんだって」
「それなら、わたしよりも、クラスの手伝いを……」
「いいから、きなこちゃんはメイクに集中しててよ」
そう言い、彼がすくった髪の一束が、じゅうぶん温まったコテに巻きつけられていく。
何度見ても、高校生の男の子だとは思えないような慣れた手つきで、感心してしまう。



