きみは宇宙でいちばんかわいい



「嘘だろ? そんなに嫌だった?」


お気に入りらしい一着を手放し、こちらへ寄ってきた彩芭くんのことを、思わずつっけんどんに無視してしまう。

すると、ドレッサーの椅子に腰かけていたわたしの前に、彼は前回と同じように、うやうやしく跪いたのだった。


「怒んないでよ」

「……そりゃあ、怒るよ。彩芭くんは平気なのかもしれないけど、わたしは、人前に出たりするの、本当の、本当に、すごく苦手なんだよ」


さすがにこちらの本気度も伝わったのか、めずらしく、彩芭くんは目を伏せて黙りこんだ。

そして、数秒後、まっすぐこちらを見上げた彼は、なにかを強く決意したような顔をしていた。


「ミスコンって、男でも出れんのかな」

「えっ?」


彼がなにを言ったのか、あまり上手に理解できなくて、ぽかんとしてしまう。


「まだエントリー間に合うよな? たしかに、こういうの苦手って知りながら、勝手にきなこちゃんのことエントリーさせといて、俺だけ横で見てるってのも、ずるかったと思う。だから、俺も一緒に出るよ。それならいい?」


いいも、悪いも、男の子がミスコンに出るというのは、たぶん前代未聞のことだから、それができるのかどうかさえ、わたしにはわからない。

ミスターコンがあれば、きっと彩芭くんはそっちに出るべきなのだろうけど、うちの学校にはそれもないので、出るとすれば、たしかにミスコンしかないのかもしれないけど……。