彩芭くんのおうちに来るのは、夏休み以来、これで二度目だ。
おじいさんも、おばあさんも、まだ現役でバリバリ働いている元気な人らしく、立派な日本家屋のなかには、きょうも誰もいなかった。
なんて、のんきに状況を確認している場合ではない。
体育祭のとき、彩芭くんとの距離感について考え直したばかりだというのに、なにをノコノコと家にまでついてきているのだろう。
といっても、学校生活のほうは、正直、以前とそこまで変わらずにいるのだけど。
いきなり彩芭くんのすべてを拒絶するというのも不自然だし、わたしだって、べつに、そんなふうにしたいわけでもないのであって。
角を立たせず、波風を立てず、なんとなくいい感じに、いい具合の距離感を保てたら、きっとそれがベストなのだろうけど、そういうのがいちばん難しいのだなぁ、と日々痛感しているところだ。
「なあ、きなこちゃん、このワンピースとかどう? 中学のとき、俺がいちばん気に入ってたやつなんだけど」
「……へえ、そうなんだ」
「え。なに? マジで怒ってるじゃん」
とはいえ、今回のミスコンの件は、わたしにしては、しっかり腹が立っているし、ちゃんと怒っている。
なんなら、このまま喧嘩しちゃってもいい、とまで思っているくらいだ。



