文化祭の目玉である、ミス・コンテスト。
その出場者は、毎年、自薦か他薦で選出されることになっている。
一年のなかでもトップレベルのビッグイベントで、本当に盛り上がるし、実際、わたしも去年はギャラリーとして、ものすごく楽しんだ。
ただ、なんといっても酷なのが、特に人数制限が設けられていないかわりに、辞退することが許されていない、という点。
自薦だろうが、他薦だろうが、選出された人間は、なんとしても絶対に出場しなければならないらしい。
つまり、どこかの誰かによって推されてしまったわたしは、どれほど嫌がろうと、どんなに抗おうと、必ずミスコンの舞台に立つことが決定したのだ。
いま、人生でいちばんの絶望にぶち当たっている、と言っても過言ではない。
できれば、いますぐにでも、逃げだしたい。
「ななちゃんっ。ミスコンいっしょに出られるの、すごく嬉しい!」
放課後、現実を受け止めきれず、ボロ雑巾のようになって帰ろうとしていたところ、ピカピカな笑顔の朝香ちゃんに呼びとめられた。
「うう、朝香ちゃん、わたしはもう、それどころじゃないよ……」
「ええ? なんで? わたしは本当に、いまからすごく楽しみだよ」
楽しみ、ですと。
さすが、去年も、今年も、当たり前のようにミスコンに出場する女の子は、言うことが違うな。



