落ち着きつつあっためまいが、体の底から、大きくぶり返してくる感覚がした。
「俺は、ななが大事だよ。ななに傷ついてほしくないし、久遠がななを傷つけることがあったら、たぶん絶対に許せない」
ああ、そうだった。
柊くんは、わたしのことを、“妹みたいに”、大事に思ってくれているんだよね。
だから、そんなふうに言ってくれているんだよね。
「……うん、ありがとう」
体調が悪いとき、心までもが不安定になってしまうのは、どうしてなの。
「やっぱりわたし、ちょっと気持ち悪いから、このまま寝るね」
彼にごろりと背をむけ、眠るふりをして、声を殺しながら泣いた。
柊くんは、すごく、勝手だ。
わたしはずっと柊くんのことを好きだったのに、それに気づきもしないで、他に好きな女の子を作って、なんの悪気もなく、そのことをいちばんに報告してきたかと思えば、挙句の果てに、優しさだけを詰めこんで、そんなせりふまで言うなんて。
白いシーツに、生温かい涙が流れ落ちては、吸いこまれて、跡形もなく消えていく。
無性に胸が痛かった。
だけど、痛みの理由を紐解けば、柊くんに抱いている感情とは別の気持ちが見えてきてしまうような気がして、なんだかとても怖かったから、あわてて目をつむった。



