きみは宇宙でいちばんかわいい



「――なな!」


そうしているうちに、今度は別の声に名前を呼ばれる。

視線を移すと、急いで駆け寄ってきてくれたらしい柊くんが、わたしの傍らにしゃがみこんでいた。


「なな、大丈夫かよ?」

「あ……うん、大丈夫だよ。なんか、ちょっと、めまいがして……」

「バカ、大丈夫じゃないだろ。顔色ヤバいし、ちょっと休んだほうがいいよ。念のために保健室連れてくから、つかまって」


柊くんは、わたしたちの足に絡んでいる手ぬぐいをほどきながら、そう言いきるなり、軽々とわたしを抱え上げてしまった。

あまりに非現実的な出来事が起こっていて、いわゆるお姫様抱っこをされているということに、数秒のあいだ、気づくことができなかった。


「しゅっ……柊くん? あの、大丈夫だよ、さすがに歩けるから……」

「いいから。病人はおとなしくして」


そう言われても、全校生徒が見守るなかでのこれは、なかなかしんどいものがある。


思わず目をつむり、両手で顔を覆った。

できるだけ外部の情報をシャットアウトしていなければ、保健室に行く前に、息がつまって死んでしまう気がする。


「久遠は救護テントのほうで、小宮山さんの手当、頼んでいい?」


歩きはじめてすぐにふり返り、そう言った柊くんの言葉に、彩芭くんが返事をしたのかどうかさえ、わたしは認識することができなかった。