それから、すぐにスタートを迎えたわたしたちは、なかなか順調な出だしをきることができていた。
「いち、に、いち、に、……」
練習したかいがあったと思う。
この調子なら、たぶん、朝香ちゃんの足を引っぱることもなく、最後までいける気がする。
しかし、そう思ったのも、束の間だった。
ちょうど、トラックが残り半周くらいに差しかかったとき、いきなり、わたしの視界に、体験したことがないほど強いハレーションが起きたのだ。
「―――……っ!?」
ぐらりと大きく体が揺れ、がくんと崩れ落ちていくのを、認識はできても、どうにも立て直すことができない。
「えっ……、ななちゃんっ!?」
すぐ傍にいるはずの朝香ちゃんの声が、なんだかとても遠くに聞こえている。
なにが起こっているのか、自分でもわからない。
こんなふうになるのははじめてだから、すごく、怖い。
でも、そんなことより、こんな場所で、こんな事態になってしまっているのが、本当に最低で、すごく恥ずかしくて、朝香ちゃんに申し訳なくて、ほとんどパニック状態だった。
せっかく、いい感じだったのに。
いま、まさに、競技の真っ最中なのに。
どうして、わたしはいつも、こんなふうなのだろう。
どうして、なんにも、上手にできないのだろう。



