きみは宇宙でいちばんかわいい



「ちがうよっ。気になってるとか、そんなわけないよ」

「……でも、ななちゃんが久遠くんを名前で呼んでるのも、むこうからの提案だったって言ってたよね。それに、さっき、久遠くんのほうも、ななちゃんのこと、“きなこちゃん”なんて、親しげに呼んでたし……」


さっきの、どうやら、しっかり聞こえていたみたいだ。

当たり前か。
むしろ、すぐ隣にいた朝香ちゃんが、そこだけ都合よく聞き落としてくれているはずがない。


ああ、どうしよう、困ったな。

これまで生きてきて、自分の言葉に説得力があった自信なんてないから、わたしがどれだけ否定したとしても、朝香ちゃんの不安な気持ちを消すなんてこと、できっこないかもしれない。


だけど、本当に違うのだから、そう言い張るしかないか。

だって、はじめて会った日、彩芭くんは、たしかにわたしのことを、“使い勝手がよさそう”と言ったのだから。


「あのね、わたしみたいなのって、すごく都合がいいんだと思うよ。ねえ、ほら、なんでも言うこと聞いてくれそうでしょ? 多少、イジったりしても、なんか大丈夫そうな感じするっていうか、ネタにしやすいっていうか……。さっきの借り物競争なんか、絶対そうだよ。“かわいいもの”で朝香ちゃんを連れてっちゃったら、本気すぎて、笑いも起こらなかったと思うもん。だからね、ちょうどいい、おもしろい感じがしたから、彩芭くんは、あえてわたしを選んだだけだよ」