彩芭くんが自信満々にうなずいたのを見て、司会者の先輩も同じように、うなずいて返事をした。
そして、マイクを持ち直し、大きく息を吸って、
「モノではなくヒトを連れてきてくれましたが、ぼくの独断と偏見で、久遠くんが一等として認めます。彼の引き当てたお題は――“かわいいもの”、でした!」
スピーカーを通してそう言い放った瞬間、あまりのことに、もう失神して、倒れてしまうかと思った。
「い、いろ……彩芭くん……」
グラウンドじゅうが、歓声と、悲鳴と、冷やかしの渦に飲みこまれている。
その真ん中に立っている現実に、わたしは穴があったら入りたくてたまらないのに、彩芭くんはケロリと笑うだけだった。
「きなこちゃん、日本の体育祭って最高に楽しいね。まあ、騎馬戦はマジで悔しかったけど」
「……そうですか……」
それは、よかった。
楽しめているのなら、なにより。
友達などいらないと、本気で言い放っていた春ごろのことを思い返せば、彩芭くんがそんな気持ちで学校行事に参加してくれるようになったのは、クラスメートとしてすごく嬉しいし、本当に尊く感じる。
だけど、わたしのほうは、朝から慣れない運動をしつづけているせいか、なんだか強烈な立ちくらみに襲われているところだ。



