「ねえ、ななちゃん。なんか、久遠くんと織部くん、ずっと競いあってない?」
「うん、たしかに……」
競技スタート時から、彩芭くんと柊くんの騎馬は、お互いにハチマキを奪いかけたり、あやうく取られそうになったりを、幾度もくり返しているようだった。
それも、なぜか、他の騎馬とはほとんど闘わず、ずっとふたりだけで張りあっている。
「でも、背が高いぶん、柊くんのほうが腕が長いし、ちょっと優勢な感じかも……」
「うーん、たしかに、そうかも。それに、久遠くんは去年を経験してないし、今年がはじめての騎馬戦だもんね」
「それなのにぜんぜん負けてなくて、すごいよ。運動センス抜群でびっくりしちゃう」
「ふたりとも、このあと選抜リレーにも出るし、きっと元の運動神経がいいんだねえ」
そして時間ぎりぎりまで競った結果、リーチが長いぶん、最終的には、柊くんのほうが彩芭くんのハチマキを奪い取った。
ただし、団体戦なので、全体の結果としては、白組のほうが勝利を収めている。
にもかかわらず、まるで個人競技だったかのように、柊くんは喜んでいて、彩芭くんは悔しがっているのだった。
「なんか、おもしろいね」
そんなふたりの様子を見て、朝香ちゃんがおかしそうに、どこかのんびりと言った。



