やがて、ふたりでほとんど全部を食べきり、彩芭くんがお手洗いに立ったときのことだった。
「――ねえ、あそこのテーブルの男の子、見た? すごいイケメンじゃなかった?」
「もちろん、見たよ。あんなの嫌でも視界に入ってきちゃうでしょ」
「だよね。かっこよくて、かわいい感じ。純粋な日本人なのかな?」
「どうだろ。あの顔だし、金髪だったもんね。ちょっと混ざってるかもね」
どこからか、そんな会話が、ひそひそとした音量で聞こえてきた。
間違いなく、彩芭くんについて話しているのだろうということは、すぐにわかった。
改めて、そうか、と思う。
わたしは、もうけっこう見慣れてきてしまったからか、そんなにものめずらしい感覚もなくなったけど、たしかにはじめて見たときは、彩芭くんに対して、彼女たちと同じような感想を抱いた気がする。
なるほど、そうか。そうなのだ。
彩芭くんは、見知らぬ誰かからこんなふうに噂されちゃうくらい、すごく素敵な男の子なのだ。
毎日をいっしょに過ごしているうちに、当たり前の光景になって、すっかり忘れかけていたけど。
そして、わたしはいま、そんな男の子と、仮にも“デート”をしてしまっているわけで……。



