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翌朝、起きて、一番に思ったこと。

学校に行きたくない。


それでなくともかなりの人見知りで、友達作りが苦手なわたしの元へ、新学期になると、毎度やって来る病。

でも、残念なことに、休むほうの勇気や大胆さも持ち合わせていないから、いろいろなことを天秤にかけた結果、なんだかんだいつも学校の準備をしてしまうのだけど。


それに、登校中が唯一、柊くんとゆっくり過ごすことのできる時間だから、それだけは絶対に手放したくない、なんて姑息なことを思ってしまうのだ。


少し遠回りになるはずなのに、必ずうちの前まで迎えに来てくれる。

玄関を開けると、おはよ、と笑いかけてくれる。


この瞬間があまりに幸福で、きのうまで、一日のうちでいちばん好きな時間だった。

それなのに、今朝は目が合うなり、なぜか、音もなく胸が痛んだ。


……ああ、そうだ。

柊くんには、好きな女の子がいるんだ。

わたしじゃない、名前も知らないらしい、他の女の子に、彼は恋をしているんだ。