東京恋愛専科～または恋は言ってみりゃボディブロー～

その翌日、いつものように会社に出勤すると何やら騒がしかった。

何があったんだろう？

そう思いながら自分のデスクへ向かおうとしたら、
「おい、何をやらかしたんだよ！？」

先輩派遣社員の杉浦俊秀（ｽｷﾞｳﾗﾄｼﾋﾃﾞ）が驚いた様子で私に声をかけてきた。

彼は私の４つ年上で、２年前から『カシオペア』で派遣社員として働いている。

同じ派遣社員仲間と言うことで、杉浦さんとは仲がいい。

「えっ、何がですか？」

私は訳がわからなかった。

「今さっき社長秘書の方がここにきて、“桜井つづりさんは出社していませんか？”って課長に聞いてきたんだ」

そう言った杉浦さんに、
「えっ、そうなんですか？」

私は聞き返した。

「社長が桜井に用事があるらしいんだけど…お前、社長に一体何をやらかしたんだよ？」

杉浦さんはオロオロと困った様子で聞いてきた。