そんな副社長の姿にまた心を打たれたうえに泣きそうになって、そしてさらに好きになってしまったと言うのは内緒である。

「結婚式が終わった後ですけど、何か予定がありますか?」

そう声をかけてきた副社長に、私はハッと我に返った。

思い出に浸っている場合ではないことを思い出した。

今は電車に乗って式場へと向かっているところだった。

「特に予定はないです」

副社長の質問に答えた。

杉浦さんとちよみさんの結婚式が終わった後に、一体何があると言うのだろうか?

そう思っていたら、
「もしよろしかったらですけど、ホテルで食事をしませんか?

夜景がとてもキレイなレストランなんです」

副社長が言った。

「いいですよ」

私が首を縦に振って返事をしたら、
「よかった」

副社長はホッとした様子を見せた。