社長室の隣にある小会議室に向かったのは、梅里専務に噂の否定と私たちの関係を宣言するからだ。

「私は、大丈夫なんでしょうか…?」

これからすることは、梅里専務をガッカリさせてしまうことなのだ。

ガッカリで済むんだったら問題はないけれど、もし彼の怒りを買ってしまうことになったらどうしよう…。

「つづりさん」

副社長は私の名前を呼ぶと、私の手を握った。

「もしあなたに何かあった場合、俺が守ります。

いや、守らせてください」

「光明さん…」

産業スパイ疑惑の時と同じように宣言した彼を頼もしいと、私は思った。

「はい」

副社長と繋いでいる手の温かさを感じながら、私は首を縦に振って返事をした。

「行きましょう」

そう言って手を引いた副社長に、
「はい」

私は返事をすると、一緒に歩き出した。