ぐいっと引っ張られた腕と包まれた温もり。 「来い」 一瞬抱きしめられて、すぐに離された体。 彼はさらさら黒髪を靡かせながら私の手を引いて歩く。 そして、屋上のドアを開けた。 屋上……? 急にクルッと振り返った彼の胸に勢いよく飛び込んでしまった私を、彼は受け止めてくれた。 そのまま、ぎゅっと抱きしめられて。 「ん」 ただ、それだけ言った。 でも、 優しく頭を撫でる手が 包み込む腕が 少ない言葉が 暖かい声が “泣いていいよ” って、言ってる気がしたんだ。