「れる」 え。 「…だったよな?」 彼は私の顔をのぞき込む。 「あ、うん…」 彼は…何て名前なんだろう。 何も知らないなぁ、彼のこと…知りたいな。 「れる」 彼に名前を呼ばれると、落ち着く。 彼の声が優しすぎて心地がいい。 「何……?」 彼の瞳を見つめれば 「俺には…甘えろよ?」 そう言ってポン、と頭を撫でてくれた。 トクン、と胸に響いて体が熱くなる。 「ありがとう…」 そう微笑むと彼は少し驚いたような顔をして 少しだけ口角を上げた。