「雪が、バンドの時に伝えたい人が居るって言って…好きな人いるんだったって思っちゃって」 あぁ、もしかして、それで… 泣いていたのか。 そう思うと、鎖骨のあたりがきしっと鳴った。 「俺に迷惑だから、離れようって?」 俺は頷いた彼女の頭を撫でる。 「お人好しっつうか、何ていうか…」 「れるは、もっと自分に甘くなれ。つっても無理そうだからなーこれからは、俺に甘えてよ」 そう微笑むと「うん」と栗色の髪を揺らした。