「雪…っ!!!」


聞こえるわけがない声が背中越しに聞こえて、涙を拭うことを忘れて振り返った。

彼女は少し緊張したような顔で俺の方へずんずんと走ってくる。


ぐっと、ネクタイを引っ張られて綺麗な顔が近付いた。


気付くと俺とれるの隙間は0cmになっていて、目を見開く。


背伸びした君が踵を地面につけると、それと同時に唇を離れた。


「………」


見つめあったままどれくらいの時間が経ったのか、花火はもう終わっていた。


思考は完全に停止していて、ただれるの赤く染まった顔を見る。

彼女は何かを言おうと口を開けてはきゅっと結ぶ。