付き合う関係になる前に屋上で言われた事を思い出す。
『拭わなくていい、俺がお前の涙…全部拾ってやるから』
もうあれから随分、時間が経ったように感じる。
「…好き、だなぁ」
ぽろぽろと流れる涙を拭いもせずに、ずっと私を見つめていてくれる雪を見つめ返す。
零れた本音は響く音色に消されて、それでも私の心に染み込んだ。
ジャン、と最後の音がなって、1曲目が終わると鳴り止まない拍手は続く。
「ありがとうございました、じゃあ…2曲目」
「少し恥ずかしいけど、ラブソングを選んだのはそれを伝えたい…人がいるからで」
雪がそう言うと悲鳴にも近い歓声が聞こえて、女の子は頬を染めている。


