「れるは、可愛いんだよ…全部」 雪は目を伏せて私の顔に手を添える。 そのまま親指ですりすりと頬を撫でた。 「…じゃあ、帰るな」 こちらを振り向きもせずそのままヒラヒラと手を振って帰っていく雪。 今更ドクドクとうるさいくらいに心臓が騒いで胸をきゅっと抑えた。 「雪は、私のこと、どう思ってる…?」 彼のオレンジに染まった後ろ姿を見つめながら、零れた自分の言葉は秋風に攫われていった。