「なぁ、雨……」 これ、と紫色は私に何かを差し出す。 紫色の手のひらには“それ”があった。 ───── ── 『律…これ……』 『ピアス……?』 『うん…つけてくれる?』 『ありがとう…片方につける』 『片方?』 『そ、あと1個は、雨が付けてよ』 『俺は左、雨は右』 『……うんっ』 ───── ─── クリスマスの、ピアスだ。 お兄ちゃんと買い物に行って、一目惚れしたゴールドのリングのような華奢なピアス。 私は泣きながら、右耳にピアスを付ける。