靴に履き替えて玄関で足を止めるとふと右手が温かくなった。 「……………え?」 「んだよ、嫌かよ?」 不機嫌そうに律はそう言う。 「いや!ううん!何か、びっくりして…」 だって。 律が手を繋いでくるなんて。 「何か、嬉しくて」 律がこんなことするの、珍しいし。 律が“好き”なのか、わかんなくて。 紫色のこともあるし。 そんなこともあまりしてるわけじゃないし、 どっちかと言えば“友達”の延長みたいな関係だったから、ほんとに付き合ってていいのかって悩んでたんだ。