「………これって…」 紫色は律の机においてある、ひとつのものを見て立ち尽くしている。 「…………雨…」 君は泣きそうな顔で私の“何もない右耳”に 優しくキスをする。 「ピアス…外したんだな」 私が律の机に置いたのは、ゴールドリングのピアス。 「うん……紫色…」 「やっと、予約席が空いたよ」 紫色はそう笑ってちいさな袋から片方のピアスを出す。 黒と紫の混ざった綺麗なストーンのピアス。 あの日君にあげたもの。