【短編】泣き顔記念日



「…七瀬?」


ふと顔を覗き込もうとすると、七瀬はふわふわの髪の毛で、顔が見えないようにしていて。



「…なな─────」


「もう…一回」


彼女が強がりなのも。



「いや、でも…」


「いいから、もう一回!…次はちゃんとやるから…だから────」


彼女が大事なときに素直じゃなくなることも。



1番わかっているのは僕のはずなのに。


わかってあげなくちゃいけなかったのに、


僕は自分ばかりで。





僕は、七瀬の方に近づいてから、座ったまま、七瀬を抱き寄せた。