土井と話すと疲れるため小林の方に目を向けると、さっそく買ってきた限定パンとやらを食べている。



うまいうまいと食べる小林に、豆腐バーガーブラックペッパーとやらの味が気になってきた。



昨日俺に買ってきたパンは普通のあんドーナツだったくせに、自分ばっかり限定パンを食べるなんて。



「ん?何見てんの?」



土井という男はなんでこうも俺の思考の邪魔をするんだろうか。



「なんでもな…」


「あれ、小林じゃん。同じクラスだったんだ?」


「…知ってんのか。」


「同じ中学出身だし。中1のとき同じクラスだったんだ。あいさつしてこよ。」




音を立てて椅子を引き、立ち上がるとまっすぐに小林の元へ歩いていく土井。



向かった先では、小林も土井に気付いたらしく笑顔で言葉を交わしている。




「よっすー。小林5組だったんだなー。」


「おっすー。そうそ。土井は2組だっけ?」


「1組だよ馬鹿。」


「あれ、そうだっけ?え、なんで5組にいるの?」


「中田との仲を深めようと思って。」


「え、ダジャレ?」


「ちげーよ馬鹿。」


「え、なに。語尾に馬鹿ってつける謎のキャラ設定?」



「…お前、相変わらずだな。」


「まるっと無視したなお前。」




きゃっきゃと楽しそうにやり取りをする二人をみて、昨日感じたいらだちが再燃した。