「中田ーおはよーう。」



「…はよ。」




次の日から、いくつか変わったことがある。


まず一つ目は、小林とあいさつを交わすようになった。




「中田先輩、こんにちは!」

二つ目は、後輩が頻繁に現れるようになった。




「中田、今日パン?弁当?」

三つ目は、土井に絡まれるようになった。





今までなるべく人と関わらないように気を付けていた俺からすれば、俺の生活への登場人物が3人も増えたことは、とても大きな変化と言える。





「中田ー、無視はよくないんじゃないの?
こうやって友達が一緒に飯食おうって誘ってんのにさー。」




「お前うるせぇんだよ。静かに食いたい。」



「だって一人で飯食っても楽しくなくない?」



「食えればなんでもいいんだよ。」



「はー、だめだめ。そんなの全然面白くない。つまんねぇ。」



「俺は別にそれで問題ないんだよ。
お前は面白おかしく誰かと飯食ってればいいだろ。」



「違う、違うんだよ!そういうことじゃねぇんだよ!
あーもう、いいからほら、弁当持って。」



「は?面倒。ここで食う。」



「お前はなんなの!ちょっとくらいオレの言うこと聞いてよー!」




バタバタうるさい土井は放っておいて弁当を机の上に広げる。


今日は鮭だ。うれしい。





「ちょ、マジかよ。普通この状況で食い始めますか?…どんだけ腹減ってんだよ。食いしん坊かよ。」





「うるせぇ。一緒に食わねぇならさっさと自分の教室戻れよ馬鹿。」




「え、ここで一緒に食う分には問題ないってこと?なにそれ唐突なやさしさに土井くんついていけないんですけど。」





やっぱりこいつうるさいから教室から追い出してもいいだろうか。