あまりにも小林の態度が普通だから、部活に行かなければならないとか、周りのクラスメイトがぽかんとまぬけ面をしてこっちを見ているとか、そんなことは気にせずに会話をしてしまった。
周りからすれば、必要最低限のことしか話さない俺が、中身のない会話をしているのが不思議なんだろう。
「あの、中田先輩!」
「リレーどうしよう。まじやばい」と笑顔でうるさい小林を馬鹿だなぁと眺めていると、後ろから声をかけられた。
振り向くと、陸上部の後輩と言っていた昼の女子がいた。
俺に用事だったのか。
目が合い、なんだと話しかける前に後輩が早口で何かを言った。
「…なんて言った?」
「ぶ、部活に、一緒に、行きましょうって、言いました!」
え、なんで。

