遠巻きにこちらを見ていたクラスメイトたちが騒ぎ出したのを感じて顔を引き締める。
どうにも小林と話していると気が抜けてしまう。
「あ、また怖い顔。」
「…もういいだろ。早く席に戻れ。」
「わかりましたファッションヤンキー!」
「てめ、喧嘩売ってんのかよ。」
「ぶっ飛ばされる!にげろー」
パンを渡して満足したのか、軽い足取りで戻っていく小林。
その後姿にまたため息がでてしまう。
小林が素直に席に戻ると、その周りに小林と仲のいいクラスメイトがそろそろと集まってきて、顔を寄せ合ってコソコソと話しだす。
おそらく今の出来事は何事かと問い詰められているんだろう。
まぁ、俺に話しかけてきたあいつが悪い。
自業自得だな。
また一つチャイムが鳴る。
それを合図に小林の周りからは人が消えた。
ちらりとこちらを振り向いた小林と目が合ってしまい、思わず眉間に皺を寄せてしまった。
眉間に皺を寄せた俺を見てなぜか笑顔になる小林に、毒気を抜かれたように脱力する。
あの馬鹿はなにを考えているかさっぱりわからない。

