「誰か、見てる?」 「金魚が、沢山」 彼は即答した。 「ならいいや」って呟いて、私は彼に口付けた。 触れた唇は、ひんやりとした雨の下でも、温かかった。 互いの目をじっと見ながら、もう一度すると、彼は少し屈んだ。 雨は、歩き去ろうとしていた。