愛するもの。愛すべきもの。




てか、ここどこ?



見覚えのない部屋に見覚えのないベッド。




勿論保健室でも病室でもない。




ガラッ____




部屋を物色するかのようにキョロキョロしていると、部屋に光の筋が入った。




「莉子、起きた?」



入って来たのは先生だった。




「ここは?」


「俺の部屋。覚えてない?」




ここが…………?




もう一度見渡すが、何も感じない。




「無理しなくていいよ。ゆっくり思い出したらいいよ」




ベッドに腰をかけると、頭に手が乗ってきた。





「やっぱ思い出して欲しい?」


「どうした?急に」




私が口を紡いでしまうと、気を利かせて先生が口を開いた。




「正直思い出さなくていいよ。何も知らない方が莉子にとっては幸せかもしれない」





あ、まただ。




『まぁ知らない方がいい過去もあるよ』




あの時も同じことを言われた。