「あぁ、そっか。記憶、ないんだっけ?元気な姿を見るとつい忘れてしまうな」
ハニカム笑顔は何処が懐かしく、身体中が騒めく。
どうしてだろう。
母親と会った時にはなかったのに、どうしてこの人が笑っただけで身体中が騒めくのだろう。
「とりあえず自己紹介からか」
「カズくーん!」
「おはよー!」
彼の名前を聞く前に少し離れた所から大きな声が聞こえた。
「おぉー、おはよー。次からは先生つけろよ!」
カズ君と呼ばれた彼は先生をやっているらしい。
「ここだと落ち着かないな。場所移すか」
そう言って私の上履きの場所を教え、履き替えるように促すと生徒達が向かう廊下とは正反対の生徒が少ない廊下を歩いた。


