ある日のバイトの終わり、
いつもの道を通るとカレがベンチに座っていた。
元彼からカレの話をよく聞いていた。
どうやら元カノと別れたらしい。
私も振られたし、時間もあったので話しかける事にした。
私「お疲れ様です。」
カレ「…あ、お疲れ様」
最初の頃は口下手で女の子に慣れてなくて、
おどおどしてたっけ。
私「彼女さんと別れちゃったんですってね」
今思えば何てデリカシーの無い話題を吹っかけたのかと思う。
カレ「え、まぁ。何で知ってるの?」
私「あー…聞いたの!」
カレ「あー。そういうことね。」
私「まだ好きなの?」
カレ「…うん、まぁね。」
私「何で別れちゃったの?」
カレ「向こうに好きな人できてさ。
これ話すと利用されてたんだよって、みんなに言われて、向こうが悪者なるから嫌なんだよね。」
私「相当好きなんだね。
きっと気持ち伝えればいい方向に行くかもしれないよ」
カレ「そうかなぁ…」
初めて話した会話がこれだった。
赤の他人に自分の恋愛をほじくり返されて、
きっとカレは戸惑っていただろう。
これが私たちの始まりだった。
この時に声さえかけていなければ。
今ではそう思っている。
