「健どこ行くの?」
「秘密」
健と手を繋いで歩いて行く。
無言でも居心地がいい。
「杏奈寒くない?」
「大丈夫だよ」


少し歩いたら波の音が聞こえてきた。
「うわ!きれーい!」
「だろ!?ここに杏奈連れてきたくてさ」
そこは海で夜空には星がたくさん輝いていた。
2人でただ黙って星をみる。
私は時々パパのことを考えてしまう。
浮気を上手くやめさせれなかったのか、周りの人は何も言わなかったのかなんてことを。
パパと合わせて健も浮気をしていたらどーしよーなんて考えたりもしてしまう。

「杏奈何考えてるの?」
「んー?昔のこと」
あのクリスマスのことは誰にも言わない。言いたくない。幼なじみの爽汰だけが知ってる。
「昔?なんかあったの?」
「ううん。何にもないよ」
だから私は笑ってごまかす。笑っておけばどーにかなる。ほんとは泣きたい気持ちでいっぱいだ。

健と部活の話しや先生の話、たわいもないことを話して結構時間が経った。
「もーこんな時間だね。杏奈さっき俺が岡田たちと話してるの見て怒ってたんだろ」
「うーん。そーかもしれない」
「なんだその微妙な回答は」


「健?」
いきなり健に抱きしめられた。
「ごめん。不安にさせちゃったよな。俺が悪かった」
「大丈夫。そんなことないよ」
「俺もう杏奈を不安にさせないから。杏奈大好きだよ」
健の顔が近いてきて気づいたらキスをしていた。私の初めてのキス。
触れるだけの短いキスだけど健の気持ちがすごく伝わってきた。
「健ありがとう。大好き」
「ん。帰ろっか」


「送ってくれてありがとう。じゃあまた明日ね」
「おう!おやすみ」