「…来ないでって、言ったじゃん」




その言葉を無視し、あたしは秋本のベッドの前まで移動した。




その声は、細く弱く、震えている。



「これ以上、沙弥センパイにダサいとこ見られたくないんだけど…」


「は…?」




ダサいところ……?




「試合、自信あったのにボロ負けだし。しかも相手は五月だし……沙弥センパイ泣いちゃうし…先輩たち引退だし…全部忘れようと思ってOBの酒飲んだら酔って気絶するし、蒼士センパイに運ばれるし…」



……確かに、これだけ聞くとすっごください。かっこ悪い。


でも



「最後まで、全力で戦ったじゃん」




そう言うと、秋本の肩がぴくっと震えた。