「うおあっ!!」

するとなぜか、盛大に驚かれた。
パッと離れた手に、目が点になる。

えっ……もしかして、触っちゃだめだった?

拒絶された事実に、少なからずショックを受けていると、夏樹君は「違う!」と慌てたようにまた叫ぶ。

なにが違うのかと夏樹君の瞳に問えば、「うっ」と呻かれる。

そんなに身構えられると、まるで、幽霊にでもなったかのような気分だ。

「ふっ、ふふ、不意打ちはやめろっ、心臓に悪いから!」

『ごめん』

「勘違いすんなよ?嫌とか、そういうんじゃねぇーからな?」

じゃあ、なんだったの?
さすがに、振り払われると不安になる。

夏樹君に見せていたスマホを力なくおろして、両手でギュッと握りしめた。

「夏樹は、極度の照れ屋なんだよ」

すると、この場にいるはずのない声が聞こえた。

振り返れば、私たちと同じジャージ姿の琉生君がいる。