「え……?」

声を漏らした途端に、強く抱きすくめられた。

気づけば夏樹君の腕の中、冷たいと思ったのは一瞬で、じんわりと触れ合う肌から体温を感じる。

「俺は……お前が怖くて、自分の罪を見ているみてぇで、苦しくなるのに……」

私が怖い、罪を見ているよう……?
ねぇ、それってどういう意味なの。

「なのに、俺を癒すのも……お前なんだよ」

まるで、子供のようにしがみつく夏樹君の体は、小刻みに震えていた。

私は、いつも夏樹君に助けてもらってばかりで、何も返せていない。

だから、私の存在が夏樹君を癒せているのなら、私にも出来ることがあるんだって、嬉しくなった。

それでも足りないなら、神様。
どうか彼を……救ってください。

「なぁ、笑って……冬菜」

どうか神様、奇跡を起こして。
この人にために私……笑いたい、名前を呼びたい。

だから、無理くり口角を上げて、声を出すために口を開く。