……誰かに見られてる気がする。
ほとんど動物的な勘で、顔を上げると……。
「よ、よう!」
窓の外、窓枠に両肘をついてこっちを見つめてる不審者、1名。
ブラウンがかった少し癖のある柔らかそうな髪が、太陽の光に透けて金に近い輝きを放っている。
スッと通った鼻筋、それを軸に形のいい目と眉と唇がバランスよく配置されている端正な顔立ちの男の子がそこにいる。
目が合った途端に、彼ははっきりとした二重を細めてニッと笑った。
「俺、夏樹(なつき)、ちなみに冬菜の隣の席だから」
「…………」
あれ、私、名乗ってないのに。
よく名前、わかったな。
クラス発表の掲示板でわかったのかもしれない。
そう思った私は、特に気に留めることはなかった。
それにしても、いきなり下の名前で呼ぶなんて馴れ馴れしいな。
距離が近すぎる人は苦手だ。
平気で心に土足で踏み入るから。


