「甘えてんなよ」
好き勝手いう生徒。
あぁ、この感覚……小学生の時と同じだ。
悔しくて、悲しくて……変わらない現状に視界がぼやける。
泣きたくない、こんなの……負けたみたいで嫌だ。
そう思うのに、心はすでに窓の外に広がる梅雨の雨のように、さめざめと泣いている。
「まったく、口がある意味がないわね」
先生の言葉が、みんなの笑い声が、心臓に直接刺さるみたいに痛い。
自分でどうにかしたくても、できない。
話したくても話せない。
何も知らないくせに、決めつけられる。
その全てが私をがんじがらめにして、呼吸さできなくなるほどの苦しみを連れてくる。
──誰か助けて……。
苦しくて、生きることさえ放棄してしまいたくなる、底無しの闇の中へ落とされたかのような絶望に襲われた。
唇を噛みしめて俯いた、その時だった。
「理由があるって、思わないんですか?」
あるはずの無い擁護の声が、教室に響く。
それは、私の隣の席から放たれた。


