「ねぇ!」

クラスメートの声は、耳にキンキンと響くようだった。

……うるさい。

私はどうせ話せない。
そのことで傷つくことも、もうたくさんだった。

ほっておいてくれればいいのに。

私はクラスメートを無視して、自分の席へまっすぐに向かう。

「なにあれ、めっちゃ感じ悪っ」

「ねぇー、テンション下がるんだけど」

背中越しに私を責める声が聞こえた。

ほら、今度は私を餌に仲間を作ろうとする。
悪口は当事者でもないのに、聞いただけの都合のいい話を信じて便乗して、群れを作る手っ取り早い手段だなと私は思う。

信じるとは違うか。
物事の信憑性なんてこの際どうでもいいのかもしれない。
自分が居場所を確保できさえすれば、それでいいのだ。
……汚くて、なんてくだらない繋がりだろう。

冷めた気持ちで、私は静かに席へと着いた。

さっそく、読書でもするかな……。

本はいい。
集中している時はくだらない現実を忘れて、綺麗な物語の世界へとトリップできるから。

机の横にかけたスクールバックの中身をガサゴソと漁っていると、ふいに視線を感じた。