「俺はいいんだよ、だって俺は……」

一瞬、その瞳が遠くなった気がした。

「冬菜が心から笑えるまで、守るって決めてるからな。そこら辺の男より断然安全だぞ」

でもすぐに、誤魔化すような笑顔が向けられる。

あの目、私を守るって……理由がわからない。

困ったように笑う夏樹君から、視線をそらせなくなる。

「冬菜のこと、誰にも俺自身でさえ、傷つけさせない」

夏樹君の自分自身にも傷つけさせないなんて言い方に、引っかかった。

「…………」

それじゃあまるで、夏樹君が私を傷つけるみたいに聞こえる。

なんて、考えすぎなんだろうか。
私が黙り込んで、無限の思考迷路に彷徨いかけた時、「……よし、リュウ坊と遊ぶか!」と夏樹君が沈黙を強制終了する。

夏樹君は柵までご飯を食べ終えたリュウ坊を迎えに行き、抱え上げると私の所へ戻ってきた。

助かった、正直、何を言えばいいのか困っていた所だった。

というより、夏樹君の言葉に隠された真意がわからない。

そう、時々純粋で真っすぐな夏樹君が、掴みどころのない陽炎のように見える時がある。

君は今、何を想い、何を考えているの……?