「わっ!あ……俺、いつの間に切ったんだ?」
私の行動に驚きながらも、琉生くんは怪我に気付いたようで納得したような顔をする。
確か、絆創膏がスクールバックの中に……。
私はスクールバックを地面に置くと、中を漁って絆創膏を見つける。そして、無心でその指に貼ってあげていた。
「あ、ありがとう……」
その人差し指をまじまじと見つめる琉生くん。
そして「優しいんだな」と、琉生くんは頬を少し赤らめてはにかんだ。
「…………」
優しいだなんて……。
ただ、私が見ていられなかっただけだ。
無言で否定するように首を横に振ると、琉生くんは私に向ける笑みを深める。
「謙遜してもいいけど、これは俺が冬菜ちゃんに感じだ気持ちだから、本心だよ」
なんか、琉生くんに向けられる視線にむずむずする。
褒められ慣れていないせいか、琉生くんの称賛が恐れ多くて、今すぐ逃げ出したいような、そんな気持ちになった。
「おい、冬菜にちょっかい出したら許さねーぞ」
そんな私たちの間に、リュウ坊のご飯を持った夏樹君が割り込んできた。


