入学式が終わると、それぞれ発表されたクラスへ別れることになった。
私は1階にある1年A組の教室の前へやってくると、扉に貼られた座席表を真っ先に確認する。
席は窓際、一番後ろの席。
人に囲まれてない上にすぐ隣が中庭なため、景色も眺められる最高の席だった。
「あ、はじめまして」
「同じクラスなんだ、よろしくね!」
教室に入るなり、たくさんのクラスメートに話しかけられた。
体が緊張で強張り、一瞬足を止めてしまう。
「ねぇ、中学どこだったの?」
やめて、たくさん話しかけてこないで。
たぶん、自分の落ち着くグループを見つけたくて躍起になっているんだろう。
一人でいられない、群れる人間は弱い。
高校を卒業したら『ずっと友達だよ』『親友だよ』なんて言葉を交わした相手とも、簡単におさらばできるくせに。
場所が変わるたび、また群れを作る無駄な行為。
「えーと、聞こえてる……かな?」
「…………」
哀れなモノでも見るような気持ちで、私はクラスメートを無言で見つめた。


