「彼女ほっておいて、なに休日出勤してるんだ、あいつは」
彼女……彼女!?
もしかして、私のことだろうかと、目を見張った。
そんな私に気づいた琉生君が「え、違った?」と驚く。
琉生くん、勘違いしてる……!
すぐさま事実を修正すべく、文字を打つ。
『彼女じゃない、友達!』
「えっ……そうだったのか。仲良さそうだったし、つい」
仲良さそう……。
確かに、夏樹君と話していたら、楽しかった。
でも、そう思うのは……危険だ。
私、だんだんガードが緩んできてるかもしれない。
そう思って、複雑な気持ちになる。
望まないと、決めたのに。
もう傷つきたくないから、孤独を選んだのに。
なのに私、どうして今日、夏樹君についてきたんだろう。
視線を落すと、琉生くんの指から血が出てることに気付いた。
「……あっ」
気づいたら、その手を掴んでいた。


