春が来たら、桜の花びら降らせてね


「彼女ほっておいて、なに休日出勤してるんだ、あいつは」

彼女……彼女!?
もしかして、私のことだろうかと、目を見張った。

そんな私に気づいた琉生君が「え、違った?」と驚く。

琉生くん、勘違いしてる……!
すぐさま事実を修正すべく、文字を打つ。

『彼女じゃない、友達!』

「えっ……そうだったのか。仲良さそうだったし、つい」

仲良さそう……。
確かに、夏樹君と話していたら、楽しかった。

でも、そう思うのは……危険だ。
私、だんだんガードが緩んできてるかもしれない。

そう思って、複雑な気持ちになる。
望まないと、決めたのに。
もう傷つきたくないから、孤独を選んだのに。

なのに私、どうして今日、夏樹君についてきたんだろう。

視線を落すと、琉生くんの指から血が出てることに気付いた。

「……あっ」

気づいたら、その手を掴んでいた。