春が来たら、桜の花びら降らせてね


「やべっ、ベリー愛くるしいな!あんな、俺の家にもゴールデンがいてさ……」

今度は夏樹君がゴールデンレトリバーの写メを見せてくる。

か、カッコイイ……っ。
この子に抱き着いたら、モフモフで幸せだろうなぁ。

そんな幸福感に浸っている途中でふと、腕に触れる体温に意識を急速に持っていかれる。

同じ画面をのぞき込んでいるからか、必然的に距離は近づいてしまう。

トクンッと密かに騒ぎ出す心臓の鼓動に、これ以上大きくならないでと願った。

そういえば、夏樹君とはやたら距離が近くなるなと思った。

でもそれを、不快に思ったり、過度に緊張したりすることはない。

むしろ、初めから夏樹君の隣が自分の帰る場所だったみたいに、心が安らぐのだ。

『名前は?』

「ルディーって言うんだ、ちなみに男」

『うん、凛々しい顔してる』

「だろー?」

あ、なんか今すごく……楽しいかも。
こんな風に、誰かと話したのは久しぶりだった。

夏樹君といると、私の世界は180度変わる。

しばらく、お互いの愛犬トークをしていると、夏樹くんが「リュウ坊の飯がそろそろだな」と言って、立ち上がった。