隣駅には私がカウンセリングを受けている心理センターがあり、週二回、学校が終わった後に通ってる。 

お母さんの言うカウンセリングとは、このことだ。

カウンセリングを受けていて思うのは、話せって言われたって、心から誰かに伝えたい、繋がりたいと思わない限り、言葉にはならないってこと。

私はある日を境に、そういった繋がりを望むことをやめた。

それ以来、家族以外の誰かに理解されたいとか、学校での居場所が欲しいとか、普通の恋がしたいとか、思わなくなった。

そんな気持ちが治らない原因なのではないかと、最近は思う。

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校門を抜けた瞬間、空気が振動するような興奮に包まれた。

掲示板の前にはわらわらと人の壁ができており、中学からの友人だろうか、同じクラスだったことに喜ぶ生徒や、別のクラスになり落ち込む生徒の温度差がちらほら見受けられる。

人の波を縫って掲示板の前に立つと、【1年A組 原田 冬菜】の文字を見つけて、すぐにその場を離れた。