春が来たら、桜の花びら降らせてね


「『わんにゃんクラブ』、俺のバイト先」

「っ……え!」

夏樹君、ペットショップでバイトしてたの!?

なにここ、天国だ……。
一気にテンションが上がる。

隣を見れば、ここにいるお客さんの全員がガラスケースを熱心に見つめている。

それを見て、この高揚感を感じているのは私だけではないのだとわかった。

動物は、モフモフしていて好き。
まさか、行き先がペットショップだったとは思わなかった。

「お、目ぇキラキラさせてんのな」

「うっ……」

可笑しそうに、嬉しそうに私を見る夏樹君に、恥ずかしさが込み上げる。

やだ、夏樹君の前ではしゃぎすぎた。
誰かの前で、表情なんて作れないはずなのに……。

羞恥、困惑、喜びといった複数の感情が入り混じり、胸の内に広がっていく。

私は、一体どうしてしまったのだろう。

変わっていく自分に感じるのは、解放感と不安の両方だった。