「じゃあ、名残り惜しいけど、あいつ等の所行って報告すっか」

「ふふっ、みんなにありがとうって言いたいな。あ、でも……声またでないかも……」

不安になっていると、夏樹君が私の手を握って強気に笑う。

その笑顔を見ただけで、不安が一気に吹き飛んだ。

「声が出ないなら、他の方法で伝えりゃあいいだろ。大事なのは、冬菜の気持ちだからな」

「夏樹君……うん、そうだね、頑張る!」

「おう、そんじゃ行くか!」

「はい!」

いつかのように、私たちは手を繋いで、この教室を後にする。

それは、逃げ出すのではなく、待っている大切な友人たちの場所へと帰るためにだ。


――さようなら。

絶望ばかりしていた弱い私。
誰にも理解されないと、嘆いていた私。
ひとりぼっちは嫌だと、泣いていた私。

これからは、大好きな人と未来を見て生きていくから。



――だから、ありがとう過去の私。